英語の重要性とその問題点について

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英語は世界で最も広く話されている言語です。ネイティブの数は約4億人ですが、非ネイティブも含めた総話者数は約15億人にものぼります。イギリスやアメリカだけでなく、世界の約70か国の公用語にもなっていて、ビジネス、科学、インターネット、エンターテインメントなど、幅広い分野の共通語として話されています。また、国連やWTOなど、多くの国際機関の標準語にもなっています。

参照 英語はなぜ世界共通語になったか
参照 英語の歴史を簡単に振り返る

英語は歴史的にも豊かで、多様な語彙を持っています。ドイツ語やオランダ語と同じゲルマン語派に属する英語は、何世紀にもわたりラテン語フランス語などの外国語の影響を受けてきました。その結果、さまざまな語源を持つ単語が混在し、多様な色彩を呈する言語となっています。

英単語の起源の割合

参照 英語の語彙に影響を与えた外国語
参照 英語にはいくつの単語があるのか

また、世界中にさまざまな方言が点在し、それぞれの国・地域・集団で異なる表現やスラングが使われています。最新のIT用語なども含めた英語の語彙数は、なんと100万語以上ともされています。英語のバリエーションも豊富で、シンガポールで話されているシングリッシュ(Singlish)や、バハマで話されているバハマ・クレオール語(Bahamian Creole)など、英語ベースのクレオールも多数誕生しています。

参照 ピジン言語、クレオール言語、混合言語の違いとは

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英語の特徴は、他の言語から語彙を吸収する柔軟性と、新しい言葉を生み出す傑出した造語力です。日本語でもお馴染みの、smartphone(スマートフォン)、wi-fi(ワイファイ)、blog(ブログ)、hashtag(ハッシュタグ)、gadget(ガジェット/道具)、selfie(セルフィ/自撮り)などは、どれも英語で造語され、世界中のいたるところで日常的に使われています。一方、日本語からも、emoji, tsunami, kawaiiなどの単語を取り入れています。英語は絶え間なく進化し続け、停滞することなく、今なお変化しています。

参照 異なる言語が接触すると何が起こるのか?

英語の価値をあげるとすれば「人々をつなげていること」といえます。リンガ・フランカ(lingua franca)として定着している英語は、異なる文化や背景を持つ人々が互いにつながり、理解し合うことを可能にしています。英語が普及した背景には「力の歴史」があることは否めませんが、グローバル規模でアイデアや情報を交換することにも寄与しています。

一方、英語の世界的な普及は、言語や文化の多様性に対する懸念も生んでいます。英語が第一言語に推奨されるようになると、固有の言語や文化が不可逆的に失われる可能性があるからです。特に、教育や雇用の場で英語が使用されている国では、母語や文化的アイデンティティを維持することが困難になってしまうことがあります。英語を共通言語として広く採用することは、言語帝国主義(Linguistic Imperialism)もしくは英語帝国主義の一形態であり、マイノリティの言語や文化の排除や喪失につながっている、という主張も一部で論じられています。英語は世界言語として定着していますが、その支配的な優位性に対する批判や問題がないわけではありません。

グローバル化が成熟し、世界の結び付きがより強固になるにつれ、共通語や意思疎通の必要性はより高まっていくでしょう。その媒体が、ラテン語なのか、フランス語なのか、引き続き英語なのかは定かではありません。もしくは翻訳技術の飛躍的な発展により、多様性を維持したまま滞りのない意思疎通が可能になる未来もあるかもしれません。ともあれ、混沌とし続ける国際社会において、意思疎通の必要性を再確認するとともに、言語や文化の多様性を実現していくことが、今後より重要になってくるのではと思います。

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