フランスのお菓子はどれも美味しいものばかりですね。今回は、お菓子に関するフランス語の外来語の意味・語源・由来についてご紹介します。
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日本に外来語が伝わった経緯・歴史
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アラモード À la mode
アラモードは、フランス語で「流行の、現代風の」を意味する「à la mode」が語源です。「à」は「~の中に」、「la」は定冠詞、「mode」は「流行、ファッション」という意味があります。英語もin fashionで「流行っている」という意味になりますね。
アラモードは料理用語としても使われています。例えば、フランスでは牛肉を煮込んだ伝統的な家庭料理「ビーフアラモード(Boeuf à la mode)」、アメリカでは1890年代に考案されたパイにアイスクリームを添えた「パイアラモード(Pie à la Mode)」などが有名です。日本ではクリームや果物を添えたデザートという意味で使われることが多く、カスタードプディングをメインにした「プリンアラモード(pudding à la mode)」は日本発祥の洋菓子の一つになっています。
エクレア Éclair
エクレアは、フランス語で「稲妻」を意味する「éclair」が語源です。一説には、表面の割れ目が稲妻(éclair)に似ていることからエクレアと呼ばれるようになったそうです。他にも、焼く時の音が稲妻に似ているからという説もあります。正式にはエクレール・オ・ショコラ(éclair au chocolat)と言います。
カヌレ Canelé
カヌレは、フランス語で「溝のついた」を意味する「canelé」が語源です。フランス・ボルドー地方の伝統的な焼き菓子で、カヌレ・ド・ボルドー(cannelé de Bordeaux)ともいいます。
クレープ Crêpe
クレープは、フランス語で「絹のような」を意味する「crêpe」が語源です。焼いた時に出来る模様がクレープ織り(縮緬、ちりめん)に見えることから、クレープと名付けられたそうです。クレープの原形は、そば粉などを薄く丸く焼いたパンケーキ「ガレット(galette)」だと言われています。
クレームブリュレ Crème brûlée
クレームブリュレは、フランス語で「焦げたクリーム」を意味する「crème brûlée」が語源です。1691年にフランス人シェフのフランソワ・マシアロ(François Massialot)の料理本に初めてレシピが掲載されたそうです。日本では、クリームブリュレとも言うそうですが、クレームの方がよりフランス語の発音に近いそうです。
サブレ Sablé
サブレは、フランス語で「砂に覆われた」を意味する「sablé」が語源です。由来には諸説あり、sabléは「砂をまく」を意味する動詞sableの過去分詞形で、砂が崩れたような食感を表したとする説や、17世紀にフランスのサブレ=シュル=サルト(Sablé-sur-Sarthe)という地方で作られからという説があります。
シュークリーム Choux à la crème
シュークリームは、フランス語で「キャベツ」を意味する「choux」と英語の「cream」を合わせた和製外来語です。フランス語ではシュー・ア・ラ・クレーム(chou à la crème)、英語ではクリームパフ(cream puff)と言います。
ショコラ Chocolat
ショコラは、フランス語で「チョコレート」や「ココア」を意味する「chocolat」が語源です。似ている言葉にチョコレートやチョコラテがありますが、チョコレートは英語由来、チョコラテはスペイン語由来の言葉です。チョコレートもショコラもスペイン語に由来しますが、15世紀にコロンブスがアメリカ大陸を「発見」して以降、スペイン語を介して様々な食べ物や植物が世界に伝わったからです。「スペイン語由来の外来語」に関しては別の記事でまとめています。
スフレ Soufflé
スフレは、フランス語で「ふくらんだ」を意味する「soufflé」が語源です。souffléは「吹く、息を吐く」を意味する動詞soufflerの過去分詞形で、「ふくらんだ、ふっくら焼いた」という意味になります。デザートの場合はチョコレートやチーズを、主菜の場合は肉や魚などを入れます。
タルト Tarte
タルトは、フランス語で「パイ、タルト」を意味する「tarte」に由来します。語源をさかのぼると、ラテン語で「丸いパン」を意味するtortaに由来します。tortaはイタリア語、スペイン語、ポルトガル語などラテン語から派生したロマンス諸語では、「パイ、タルト、ケーキ」などの意味で使われています。英語のtartも同根語です。
パフェ Parfait
パフェは、フランス語で「完全な」を意味する「parfait」が語源です。「完全なデザート」という意味で名付けられました。パフェは英語由来の発音で、フランス語の発音はパルフェになります。
ビスケット Biscuit
ビスケットは、フランス語で「2度焼く」という意味がある硬い焼菓子「biscuit(ビスキュイ)」に由来します。さらにさかのぼるとラテン語で「2度焼いたパン」を意味する「panis biscoctus(パーニス・ビスコクトゥス)」に由来します。「bis」は「2度」、「cuit」や「coctus」は「焼いた、調理した」を意味します。今ではお菓子として食べますが、もともと堅パンのことを指し、軍隊や航海用の保存食として利用されていました。
類似語にクッキー(cookie)がありますが、国によって定義が異なります。日本では脂肪分が多いものをクッキー、少ないものをビスケットと区別しています。一方、このようなお菓子全般をアメリカではクッキー、イギリスではビスケットと呼ぶそうです。
プチフール Petit four
プチフールは、フランス語で「小さなかまど」を意味する「petit four」が語源です。「小さな」というのはかまどの温度のことで、肉などを焼く高い温度を「大きなかまど(grand four)」、お菓子などを焼く低い温度を「小さなかまど(petit four)」と呼んでいたことに由来します。プチフールとは、一口サイズのケーキのことで、ビュッフェやデザートなどで色々な種類を詰め合わせた形式で提供されることが多いです。
マカロン Macaron
マカロンは、ギリシア語で「葬式の際に食べる料理」意味する「macaria」が語源です。マカロンは8世紀頃にイタリアの修道院で考案され、その後フランスへ持ち込まれました。日本でよく見られるカラフルな2枚のマカロンにクリームを挟んだものは「パリ風マカロン(macaron parisien)」と呼ばれています。
マドレーヌ Madeleine
マドレーヌは、フランスの女性名「マドレーヌ(madeleine)」に由来するとされています。由来には諸説あり、有名な説では、1755年頃にマドレーヌ・ポルミエ(Madeleine Paulmier)という女性の料理人が作ったことに由来するそうですが定説ではありません。
マロングラッセ Marron glacé
マロングラッセは、フランス語で「糖衣をかけたクリ」を意味する「marron glacé」が語源です。フランス語でmarron(マロン)は「大きな丸いクリ」、glacé(グラッセ)は「糖衣をかける」という意味があります。
ミルフィーユ Mille-feuille
ミルフィーユは、フランス語で「千枚の葉」を意味する「mille-feuille」が語源です。「mille」は「千」、「feuille」は「葉」を意味します。本来の発音は「ミルフイユ」か「ミルフェイユ」が近く、「ミルフィーユ」だと「千人の娘(mille fille)」という意味になってしまうそうです。
モンブラン Mont Blanc
モンブランは、フランス語で「白い山」を意味する「mont blanc」が語源です。雪をかぶった山に似ていることから、アルプス山脈にあるモンブランが名前の由来になったそうです。フランスではモン・ブラン・オ・マロン(Mont Blanc aux marrons)と呼びます。
ラング・ド・シャ Langue de chat
ラング・ド・シャは、フランス語で「猫の舌」を意味する「langue de chat」が語源です。猫の舌のような形に焼いたことから名付けられました。日本ではヨックモックや白い恋人などが有名ですね。
まとめ
今回は「日本語になったフランス語の外来語(お菓子)」について、一覧形式でご紹介しました。紹介した単語の中にはフランス語だけが語源ではないものもありますが、日本語にはフランス語経由、もしくはフランス語の発音で伝わったため「フランス語の外来語」に区分しています。