スペイン語に由来する外来語|地名

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アメリカ合衆国にはスペイン語に由来する地名が沢山あり、例えば、サンフランシスコ、ロサンゼルス、ラスベガスなどはスペイン語に由来しています。米国の一部は、以前スペインやメキシコ領だったため、現在でもスペイン語の地名が引き継がれています。今回は地名に関するスペイン語の外来語の意味・語源についてご紹介します。

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ガラパゴス諸島 Islas Galápagos

ガラパゴスはスペイン語で「ゾウガメ」を意味する「galápago」に由来します。16世紀にパナマの司教が偶然発見し、地図製作者によって「カメの島(Insulae de los Galopegos)」と名付けられました。

ガラパゴス諸島は通称で、正式名称はクリストファー・コロンブスの名前にちなんでコロン諸島(Archipiélago de Colón)といいます。南米のエクアドルが領有する島群で、ゾウガメ、リクイグアナ、ウミイグアナ、ペンギンなど独自の進化を遂げた固有種が多く生息しています。チャールズ・ダーウィンが「進化論」について著した『種の起源』の着想を得た島として有名です。

コロラド Colorado

コロラドはスペイン語で「色のついた、赤みを帯びた(colorado)」という意味があります。 coloradoは動詞colorar(着色する)の過去分詞です。英語のcolorと似ていますが、スペイン語のcolor(色)とは同根語です。

1700年頃にこの地を訪れたスペイン人探検家が、赤褐色の土で赤くなった川を「赤い川(Río Colorado)」と呼んだことに由来します。アメリカ合衆国西部とメキシコ北部を流れる川の名前になってますが、アルゼンチン、ボリビア、ブラジル、チリなどにも同名の川があります。ロッキーマウンテン国立公園などの観光地として有名なアメリカ西部のコロラド州は、コロラド川にちなんで名づけられました。

サンフランシスコ San Francisco

サンフランシスコは「聖フランシスコ」の名前にちなんで名づけられました。 聖フランシスコとは、13世紀にカトリック教会の修道会である「フランシスコ会」を創設した人物です。「アッシジのフランチェスコ(Francesco d’Assisi)」とも呼ばれます。アッシジとは現在のイタリアにある地名です。

サンフランシスコの歴史を簡単に振り返ると、1776年にスペイン人が入植し、その際に付近で生息しているハーブの名前にちなんで「イェルバ・ブエナ(Yerba Buena)」と名付けました。スペイン語でイェルバ(yerba)は「葉、ハーブ」、ブエナ(buena)は「良い」のことで、直訳すると「良いハーブ」という意味になります。この時代に築いた要塞の名前に「サンフランシスコの砦(El Presidio Real de San Francisco)」というものがありました。砦の名前ですが、この時点から既にサンフランシスコという名前は登場していました。

その後、1821年にスペインからメキシコが独立してメキシコ領になり、1846年には米墨戦争が勃発し、1847年にイェルバ・ブエナからサンフランシスコに改名されました。1848年に米墨戦争が終結しアメリカ領になり、1848年頃からゴールドラッシュにより急速に発展しました。現在は、Google、Facebook、アップル、Yahoo!、Twitterなどが本社を置くシリコンバレーも近くにあり、アメリカ有数の世界都市になっています。

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テキサス Texas

テキサスはスペイン語の「Texas」に由来します。 語源をさかのぼると、先住民であるカド族の言語で「友人、同盟者(táysha)」という言葉に由来します。この言葉はスペイン語ではTejasやTexasと書き、スペイン人がカド族やその地域を指す言葉として使われ、それが現在でも引き継がれています。

テキサスはメキシコと国境を接しているアメリカ南部の州ですが、歴史を振り返ると統治者の移り変わりがとても激しい場所でした。1519年にスペイン人征服者のアルバレス・デ・ピネダ(Álvarez de Pineda)が非ネイティブアメリカンとして初めてテキサスに到着しました。その後、1685年にフランスの植民地に、1690年からはスペイン領に、1821年にはスペインからメキシコが独立してメキシコ領になり、1836年にはメキシコから独立し「テキサス共和国」になりました。1845年にはアメリカに編入され、現代に至ります。

ネバダ Nevada

ネバダはスペイン語で「雪に覆われた(nevada)」という意味があります。 nevadaは動詞nevar(雪が降る)の過去分詞形です。

アメリカ西部にあるネバダ州は、同州西側にあるシエラ・ネバダ山脈(Sierra Nevada)にちなんで名づけられました。スペイン語でシエラ・ネバダは「雪の山脈」という意味があり、sierraは「山脈」のことを指します。最高峰は標高4,421mのホイットニー山です。ちなみに、スペインにも同名のシエラ・ネバダ山脈があります。最高峰はムラセン山で富士山とほぼ同じ標高3,479mです。

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プエルトリコ Puerto Rico

プエルトリコはスペイン語で「豊かな港(puerto rico)」という意味があります。 この地は元々先住民のタノイ語で「勇敢なる君主の国(Borikén)」と呼ばれていましたが、1493年にコロンブスが到達し、首都をプエルトリコ(Puerto Rico)、島全体を聖ヨハネの名前にちなんでサン・ファン・バウティスタ(San Juan Bautista)と名付けました。それがいつしか首都をサン・フアン、島全体をプエルトリコと呼ぶようになりました。元々島と都市の名前は逆だったんですね。

プエルトリコはカリブ海の北東に位置するアメリカ合衆国の自治領ですが、公用語はスペイン語と英語で、人口の約90%がスペイン語話者です。長らくスペインの植民地でしたが1898年にアメリカとスペインの間で米西戦争が起こり、スペインからアメリカ領になりました。1917年にアメリカの準州になり、市民権が付与され、1952年にはアメリカの自治領になりました。そのような経緯もあり、文化的にはスペインやラテンアメリカと深い繋がりがあります。

フロリダ Florida

フロリダはスペイン語で「花でいっぱい、花のような(florida)」という意味があります。 1513年4月2日にスペイン人探検家のポンセ・デ・レオン(Ponce de León)が花が咲き誇る土地を発見し、La Florida(ラ・フロリダ)と名付けたことに由来します。伝承では、若返りの泉を探している途中だったそうです。

他の説では、ポンセ・デ・レオンがフロリダを発見した日が復活祭のシーズンだったことから「花の復活祭」を意味するPascua Florida(パスクア・フロリダ)と呼んだそうです。Pascuaはスペイン語で「復活祭」を意味します。現在でもフロリダではポンセ・デ・レオンがフロリダに到着した4月2日が「パスクア・フロリダ」という祝日になっています。

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モンタナ Montana

モンタナはスペイン語で「山(montaña)」という意味があります。 Montanaという表記はスペイン語のmontañaのラテン語形式です。スペイン人探検家がこの地の山脈を「北の山(Montaña del Norte)」と呼んだことに由来します。

モンタナはアメリカ北西部にある州で、自然が豊かなことから「大きな空」や「宝の州」などの愛称があります。1864年にロッキー山脈に関連して、モンタナという州名が提案され、1889年に41番目の州になりました。

ラスベガス Las Vegas

ラスベガスはスペイン語で「肥沃な草原(las vegas)」という意味があります。 スペイン語でlasは女性定冠詞の複数形、vegasは「沃野、湿地」のことです。ラスベガスは1829年にカリフォルニアのロサンゼルスを目指すキャラバンの一行により発見され、砂漠からあふれ出る湧き水が印象的だったためLas Vegas(ラスベガス)と名付けたそうです。

よくある説に、カリフォルニアを目指すモルモン教徒が発見したとありますが、信憑性は不明です。前述したキャラバンの一行がモルモン教徒だったのかは定かではありませんが、1855年にモルモン教徒がラスベガスに入植した記録は残っています。

ラスベガスの歴史を簡単に振り返ると、1905年に理想的な給油ポイントとして鉄道の駅が建設されました。1929年に世界恐慌が起こり、1931年に賭博の合法化フーバーダム建設が着手されました。1936年にフーバーダムが完成してから、ネバダ砂漠には軍関係の施設が次々建設されました。1946年以降は、カジノやエンターテイメントの街として栄えました。昔も今もラスベガスは「砂漠の中の楽園」だったんですね。カジノの街、眠らない街、罪の都市(Sin City)、世界のエンターテイメントの首都(The Entertainment Capital of the World)などの愛称もあります。

ロサンゼルス Los Angeles

ロサンゼルスはスペイン語で「天使たち(los ángeles)」という意味があります。 ロサンゼルスは1781年に「ロス・ポブラドーレス(Los Pobladores)」というメキシコ入植者が定住し、「我らが貴婦人、天使たちの女王の町(El Pueblo de Nuestra Señora la Reina de los Ángeles)という長い名前の集落を設立したことに由来します。

スペイン語でPobladoresは「入植者」、puebloは「村、集落」、deは「~の」、Nuestra Señoraは「我らが貴婦人」つまり「聖母マリア」のこと、la Reina de los Ángelesは「天使たちの女王」を意味します。その後、名前が長すぎたのかLos Angelesに縮小されました。街の名前が「天使たち」とはかっこいいですね。

まとめ

今回は「スペイン語の外来語(地名)」の意味・語源・由来をご紹介しました。紹介した単語の中にはスペイン語だけが語源ではないものもありますが、日本語にはスペイン語経由、もしくはスペイン語の発音で伝わったため「スペインの外来語」に区分しています。

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