スペイン語は世界の約5億4000万人に話されているグローバル言語です。話し方や使われる単語は地域や国によって異なるので、学習者としては覚えることが多くて大変ですよね。そこで今回は「スペイン語にはいくつの単語があるのか」を調べました。
スペイン語の場合は動詞の活用形が非常に豊富です。6つの人称と16種類の時制を掛け合わせると100近くの活用形になります。例えば、動詞のir(行く)には、voy, vas, va, vamos, vais, van, yendo, ido, fui, fuiste, fue… などの活用形があります。これでもほんの一部です。これらの活用形を1語にまとめるべきか、それとも別々にカウントすべきか、一致した見解はありません。
活用形以外にも、隠語・スラング・ネット用語・略語・借用語なども単語として含めるべきかどうかの議論もあります。例えば、日本語でもたまに「アミーゴ」という言葉を聞きますが、アミーゴが日本語かと言われたら微妙なところですよね。
辞書の単語数は9万3千
完全な解決策ではありませんが、辞書の単語数を参考にするのが1つの方法です。
他の言語の場合でも、辞書の見出し語の数を参考にすることが多いようです。言語によっては公式と呼ばれる辞書がありますが、スペイン語の場合はスペイン王立アカデミー(Real Academia Española)が管轄する「Diccionario de la Lengua Española」が規範的な辞典とされています。スペイン語は21か国の公用語になっていて収集も大変ですが、この辞書にはあらゆるスペイン語圏の国や地域で使われる単語が含まれています。2014年に出版された第23版には、9万3千の見出し語があるそうです。
参照:“Diccionario de la lengua española” Real Academia Española
どうやらスペイン語の語彙数は9万3千語だと捉える見方が大勢のようです。スペインの国立言語アカデミーが出版している権威ある辞書の見出し語数ですからね。
ちなみに「Oxford English Dictionary(第2版)」には、約29万(291,500)の英単語が収録されています。辞書の見出し数を比べると、スペイン語の単語数は英語の3分の1しかありません。スペイン語の語彙数が少ないわけではありませんが、この結果の一因として英語の造語力が高いことが挙げれらます。例えば、アメリカの分析会社グローバル・ランゲージ・モニター(Global Language Monitor, GLM)によると、英語は98分ごとに新しい単語が作られているそうです。これは1日あたり約14.7単語、1年あたり5400単語の計算になります。
参照:“Rise and Fall of England as an English Language Word Generator” The Global Language Monitor
これらの造語は借用語という形で英語からスペイン語に取り入れられています。これは日本語でも同じかもしれませんね。ネット、パソコン、ブラウザ、キャッシュ、URL、ホームページ、ブログなど、ITやネット用語を漢字やひらがなで表記するのは困難です。chocolate(チョコレート)、vanilla(バニラ)、breeze(そよ風)など、「スペイン語から英語になった単語」もありますが、現在ではそれほど多くはありません。
ちなみに、スペイン語の日常会話に必要な語彙数は2000語程度です。1000単語を覚えれば会話の88%、2000単語を覚えれば会話の93%が理解できると言われています。そのため、9万3千語も覚える必要はないので安心です。