以前「語尾が-oryで終わる英単語」をまとめましたが、そこでlavatory(ラバトリー)という単語が出てきました。lavatoryは、ラテン語のlavare(洗う)と、接尾辞のory(場所)が組み合わさった言葉で、直訳すると「洗う場所」、つまりトイレや洗面所のことを意味します。厳密には飛行機や病院などのトイレを指し、正式な表現として使われています。
ラバトリーは日本人には比較的聞き慣れた単語ですが、weblioによる「学習レベル」によると、「英検1級以上、大学院以上の水準、TOEIC950点以上」の単語なのだそう。意外と難易度は高いんですね。
ラバトリーの難易度が高い理由は、ラテン語由来の単語ということも一因かもしれません。そもそもlavatoryの語源はラテン語のlavare(洗う)だと言われても英語とはあまり関わりの少ない単語です。一応英語でもlave(洗う)という単語はありますが、詩などで使われる難しい表現です。一方、スペイン語やフランス語などラテン語から派生したロマンス諸語では、「洗う」を表す動詞にはラテン語のlavareが引き継がれていることが多いため、ロマンス語圏の人や多言語話者にとっては結構お馴染みの単語です。
ラテン語 :lavare(ラヴァレ)
イタリア語 :lavare(ラヴァレ)
フランス語 :laver(ラヴェ)
スペイン語 :lavar(ラヴァル)
ポルトガル語:lavar(ラヴァル)
英語 :lave(レイヴ)※高難易度
ロマンス諸語はどれも似ていますね。イタリア語にいたってはラテン語から変わっていません。一方、ゲルマン語系の英語で「洗う」と言えば、washが一般的です。古英語そしてゲルマン祖語から引き継がれた伝統的なネイティブワード(本来語)です。英単語の約半分はフランス語とラテン語に由来すると言われていますが、lavatoryもそのうちの一つに当たるわけです。そのためlavatoryは日常的に使われる言葉と言うよりかは、正式な表現だったり公共用のトイレとして使われているのかもしれません。ラテン語由来の言葉は小難しいイメージがありますからね。
トイレの英語での色々な呼び方
英語でのトイレの呼び方をまとめてみました。ラテン語だけでなくゲルマン語から継承されている言葉も含め、15個近くもあります。
- bathroom
[米国] 個人住居のトイレ - toilet
[英国] 個人住居のトイレ、便器 - lavatory
[正式] 飛行機・病院・学校 - restroom
[米国] 公共施設 - washroom
[米国] 公共施設 - the men’s room
[米国] 男性用 - the gents
[英国] 男性用 - the ladies’ room
[米国] 女性用 - the ladies
[英国] 女性用 - loo
[英国] 口語 - lav
[英国] 口語 - lavvy
[英国] 俗語 - john
[米国] 俗語 - latrine
下水道のないトイレ
日本語でもカタカナ語になっているtoilet(トイレ)ですが、イギリス英語ではトイレのことも指しますが、「トイレの便器」のことも指すので注意が必要です。
それにしても英語は語彙が本当に豊富ですね。種々多様な言語と言語接触を積み重ねてきた証左です。アメリカ英語とイギリス英語の相違があるように、話される国の数が多いほど語彙や表現のバリエーションも増えるので、覚える方としてはなかなか大変です。方言、口語、俗語、隠語などを含めればもっと多くなるかもしれませんが、日本語でも、お花摘み、レコーディング、遠方など地域や業界によって色々な呼び方があるので、どの言語でも同じことが言えるかもしれませんね。
まとめです。
- lavatoryの語源はラテン語の「洗う場所」
- lavatoryは正式な表現で、飛行機や病院などの洗面所を指す
- ラテン語から継承された英語の洗う(lave)は、難易度が高い
- ラテン語から継承されたロマンス諸語の洗う(lavare, laver, lavar)は、日常的に使われる
- 英語には様々な由来を持つトイレの呼び方がある
それではそろそろお花を摘みに行ってきます。