スペイン語と英語は似ている単語が多いので同時に勉強すると効率的です。例えばusual(通常の)やpopular(人気の)はスペルと意味がほぼ一致しています。ですが落とし穴もあり、スペルが似ているけど実は意味が違う単語には注意が必要です。
動詞 ほぼ一致|+ar,ir,er|ate-ar|e-ar,ir|名詞 完全一致|ほぼ一致|sion-sión|tion-ción|ty-dad|形容詞 完全一致|ほぼ一致|al=al|ble=ble|ive-ivo|副詞 ly-mente || 補足|200選
スペイン語と英語の間違えやすい単語
動詞|名詞① ② ③|形容詞|副詞|補足
英西同時学習は空似言葉に注意!
空似言葉とは、スペルが似ているけど意味が違う単語のことです。
英語ではfalse friendsと呼ばれていて、日本語では「空似言葉」「偽りの友」「偽の友達」などと訳されています。
空似言葉として有名な例がlibrary(図書館)です。
英単語のlibraryは、もともとラテン語の「本(liber)」や「本棚(librarium)」という言葉に由来しています。この言葉はスペイン語やフランス語などのロマンス諸語では「本屋」という意味で引き継がれています。
- 英語 library(図書館)
- スペイン語 librería(本屋)
- イタリア語 libreria(本屋)
- フランス語 librairie(本屋)
- ポルトガル語 livraria(本屋)
語源が同じ単語なので、どの言語でもスペルが似ていますね。ただ英語だけ意味が仲間外れです。図書館と本屋はどちらも本に関係する言葉なので、より紛らわしいですね。
英語で書店はbookshopやbookstore、スペイン語で図書館はbibliotecaといいます。英語のlibraryは図書館以外にも、蔵書や書庫などの意味があります。
オンライン語源辞典のOnline Etymology Dictionaryによれば、英語のlibraryは14世紀頃に古フランス語を経由して伝わりました。
伝言ゲームみたいに、ラテン語、フランス語、英語と伝わっていく途中で、意味が微妙にずれていったようですね。
単語が他の言語に伝わる過程で意味やスペルがずれることはよくある現象で、日本語の場合でもノートパソコンやカルテなどのカナカナ語は、本来の意味とは異なるため和製外来語と呼ばれています。ちなみにノートパソコンは英語ではlaptop、カルテはドイツ語の「カード(Karte)」という言葉に由来します。ドイツ語では「診療記録」という意味はなく、誤用がそのまま定着しました。
スペイン語の話に戻ると、スペイン語は俗ラテン語(話し言葉のラテン語)から誕生した言語なので、ラテン語から多くの単語が継承されています。スペイン語にとってラテン語は親のような存在ですね。
スペイン語の歴史については下記の記事でまとめています。
一方、英語もラテン語から30%近くの単語を借用しています。これには様々な理由がありますが、11世紀にイングランドがノルマン人の支配下に置かれた際に、フランス語の単語が英語に流入したことが一因です。フランス語の祖先もラテン語です。「英語に影響を与えた外国語」でもまとめているので割愛しますが、ヨーロッパ言語は幾度となく言語接触を繰り返して混ざり合っています。
そのようなこともあり、間接的にですが英語とスペイン語は同じ語源の同根語がたくさんあり、語彙の共通度が高くなっているわけです。
ですが注意したい点があり、すべての同根語が同じ意味というわけではありません。例えばラテン語に由来する英単語のいくつかは、古フランス語を経由して伝わったため、本来の意味から変わってしまったケースがあるからです。
そのため英語とスペイン語の同時学習は空似言葉に注意する必要もあるわけです。
英語とスペイン語の空似言葉の例
実際に間違えやすい英語とスペイン語の空似言葉をいくつか見ていきたいと思います。
英:realize – 西:realizar
スペイン語や英語ネイティブにとっても間違いやすい例としてよく言及されるのが、rezalizeとrealizarです。
2つの単語の意味は以下の通りです。
西 realizar:実現する、実行する
どちらも「実現する」という意味では共通しているのですが、注意したいのは、スペイン語のrealizarには「理解する」や「気付く」という意味がないことです。スペイン語で「気付く」はdarse cuenta、「理解する」はcomprenderと言います。
また反対に、英語のrealizeにも「実行する」という意味は一応あることはありますが、realizarの対応語はcarry outが一般的です。
まとめると以下のようになります。
和 気が付く = 英 realize = 西 darse cuenta
和 理解する = 英 realize = 西 comprender
和 実行する = 英 carry out = 西 realizar
空似言葉の厄介なところは、どちらも同じ語源のことが多いため、似たような意味を持っているところです。実際に語源をさかのぼってみると、どちらもラテン語のrealis(実在の)という単語に由来します。英語とスペイン語で同じ意味があるのは、もともと同じ単語だったからです。
英語のrealizeが「気付く」という意味で使われ始めたのはいつごろからなんでしょう。
Etymologyによると、17世紀頃にフランス語のréaliser(実現する)を経由して英語になったそうです。その後については諸説ありますが、「make real in the mind」つまり「心の中で実現する」という意味に変化し、現在では「気付く」を意味するようになりました。
「実現する」と「気が付く」という言葉は全く無関係ではないんですね。単語の意味が変化した歴史をたどっていくと、関係性が見えてきて面白いですね。
英:actual – 西:actual
スペルが全く同じactualも間違いやすい例です。
西 actual:現在の、現代の
英語のactualにも「現在の、現行の」という意味がないわけではありませんが、よく使われる用法は「実際の、実在の」で、「現在の」に対応する語はpresentです。
まとめると以下になります。
和 実在の = 英 actual = 西 real
和 現在の = 英 present = 西 actual
語源をさかのぼると、どちらのactualもラテン語のactus(行為、行い)という言葉に由来していますが、このラテン語のactusは、英語のactやスペイン語のactoとも同じ語源になっています。
英語とスペイン語を勉強する際には気を付けてくださいね。
その他の「間違えやすい英語とスペイン語の単語」は別の記事でまとめているので英西同時学習の参考になれば幸いです。
- スペイン語と英語の間違えやすい動詞一覧
- スペイン語と英語の間違えやすい名詞一覧①
- スペイン語と英語の間違えやすい名詞一覧②
- スペイン語と英語の間違えやすい名詞一覧③
- スペイン語と英語の間違えやすい形容詞一覧
- スペイン語と英語の間違えやすい副詞など
まとめ
今回は、英語とスペイン語を同時に学ぶ際の注意点として、スペルが似ているけど実は意味が違う単語についてご紹介しました。言語学では、空似言葉(false friends)と呼ばれています。
英語とスペイン語の空似言葉の代表例は、英語のlibrary(図書館)とスペイン語のlibrería(書店)です。どちらも同じ語源ですが、違う意味を持っています。
空似言葉についての詳細や、英語とドイツ語・フランス語・イタリア語の空似言葉については以下の記事でまとめています。